ホーム お役立ちコラム 具体例から学ぶ!SDGsへの企業の取り組みや事例、取り組む際のポイントを解説!
更新日:2023.11.16
具体例から学ぶ!SDGsへの企業の取り組みや事例、取り組む際のポイントを解説!
最近、テレビや雑誌のほかビジネスシーンでも「SDGs」という言葉を目にする機会が増えたのではないでしょうか。
しかし、環境保護や平等な社会を目的とした目標であることは認識しているものの、具体的にどのように取り組めば良いのかお悩みの企業も多いはずです。
そこで今回は、SDGsへの企業の取り組み方と、企業がSDGsに取り組むメリットについてご紹介します。
SDGsとは
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、「Sustainable Development Goals」の略で、持続可能な開発目標という意味があります。
2015年9月に開かれた国連サミットにて、2030年までに達成すべき世界共通の目標として採択されました。
SDGs17の目標
SDGsは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」として、17の持続可能な開発目標と169項目のターゲットから構成されています。
- 貧困:あらゆる場所や形態において貧困を終わらせる
- 飢餓:飢餓を終わらせて食料の安全性確保と栄養状態を改善し、持続可能な農業を推進する
- 保健:あらゆる年齢を対象に、健康的な生活を確保して福祉を促進する
- 教育:すべての人を対象に、包摂的で公平な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
- ジェンダー:ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児の能力を強化する
- 水・衛生:すべての人に、水と衛生を利用の可能性と持続可能な管理を確保する
- エネルギー:すべての人に、安価で信頼でき、持続可能な近代的エネ ルギーへのアクセスを確保する
- 経済成長と雇用:すべての人が持続的、包摂的、持続可能な経済成長と生産的な雇用だけでなく、働きがいのある人間らしい仕事を推進する
- インフラ、産業化、イノベーション:強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進を図る
- 不平:国内および各国家の格差を是正する
- 持続可能な都市:包摂的、安全、強靭かつ持続可能な都市と人間の居住地を実現する
- 持続可能な消費と生産:持続可能な消費と生産を確保する
- 気候変動:気候変動と影響を軽減を目的にした緊急対策を取る
- 海洋資源:持続可能な開発に向けて海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
- 陸上資源:陸上生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、生物多様性損失の阻止を図る
- 平和:持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
- 実施手段:持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
17つの目標の中でも、「産業と技術革新の基盤をつくろう」、「つくる責任、つかう責任」、「陸の豊かさを守ろう」では、企業としてできることはペーパーレス化や資源の有効活用などが当てはまります。
「つくる責任、つかう責任」については、製造業であれば、製造の量、廃棄処分が多くなっていないかどうかなどについて考えることが、企業としてできることといえます。
他にも、「ジェンダー平等を実現しよう」という目標では、女性の雇用を増やす、女性の昇進を積極的に行うなどが、企業として取り組みやすい目標です。
SDGsとCSRの違い
SDGsとCSRの違いは、行動目標なのか社会責任なのかの違いが挙げられます。
SDGsを社内に浸透させる際、これらが混在しないよう理解しておきましょう。
SDGsに企業が取り組む3つのメリット
メリット1.イメージの向上・信頼につながる
社会・環境・地域への貢献は、顧客や従業員、地域の方々などステークホルダーからの信頼感を得ることにつながります。企業の信頼は取引先からのイメージ向上に直結するため、新しいパートナーとの事業展開にもつながりやすくなります。
投資家からの信頼も受けるので、自社の株価にも良い影響を与えるといわれています。
メリット2.人材確保につながる
企業のイメージや信頼感が向上することで、優秀な人材が集まりやすくなります。また、SDGsに取り組むことで、社員が働きやすい環境づくりの構築ができるでしょう。そのため、社員の満足度にもつながり、離職率の低下にもつながります。
メリット3.新たなビジネスチャンスにつながる
SDGsに企業が取り組むと、新たなビジネスチャンスにつながる可能性があります。商品やサービスを開発するうえで、消費者のニーズ調査は欠かせないものです。しかし、少子高齢化問題や多様化した消費者のニーズ変化に順応していくのは、年々難しくなっています。
そこで、社会としてのニーズであるSDGsに企業が取り組むことで、長期的なニーズを押さえ、社会の課題解決につながります。また、SDGsに企業が取り組むと「他業種からの協力を得られる」や「社会的な評価が向上する」といった効果も期待できます。
SDGsへ取り組む際のステップ
- ステップ1
SDGsを理解する
- ステップ2
課題の決定
- ステップ3
目標を決定させる
- ステップ4
経営に統合させる
- ステップ5
報告・コミュニケーションの実行
【ステップ1】SDGsを理解する
SDGsを取り入れるには、SDGsとは何なのか? どのような目標が掲げられているのか? なぜ企業に必要なのか?
といった基本的なことを、経営層を中心に企業全体で理解する必要があります。
まずは、社内でSDGsを推進させるためのチームをつくり、チームのメンバーから基礎を学んでいくのも良いでしょう。
【ステップ2】課題の決定
SDGsで掲げられている目標と、自社の事業を紐付けて整理していきます。
SDGsの17個の目標すべてを一度に取り扱うことは困難です。そのため、企業の特性や現状に合わせて、優先課題を決めていきます。
17つの目標の中から優先課題を見つけにくい場合は、169項目のターゲットと照らし合わせていきましょう。優先すべき課題を見つけることで、どの取り組みに力を入れていけばいいのか見つけ出すことができます。
【ステップ3】目標を決定させる
SDGsの目標と事業を紐付け、優先課題を見つけたら、次に目標を決定していきます。
また、どれだけ目標を達成できているのかを測定する評価指標も同時に設定しましょう。
【ステップ4】経営に統合させる
課題を見つけ出し、目標を決定したら、次は経営に落とし込んでいきます。
事業ごとに落とし込むことで成功しやすくなります。社内にひろく浸透するように、取り組みについては経営者やチームが経営を統合していく必要があります。
【ステップ5】報告・コミュニケーションの実行
最後は、報告とコミュニケーションを実行していきます。定めた目標をどのくらい達成しているのかなどを報告していきます。
この報告は社内だけではなく、社外に向けても行っていきます。統合報告書や、CSRレポートの作成、取り組みに関するムービーの制作などを準備しておくと良いでしょう。
社内外問わず、意見交換をすることもできるので、報告はとても大切です。
企業がSDGsに取り組む際のポイントは4つ
企業がSDGsに取り組む際のポイントは、以下の通りです。
- 社員の理解を得たうえで進める
- 自治体からの支援を受ける
- 他社の取り組み事例を参考にする
- 無理のない範囲で始める
順番に紹介していきます。
【ポイント1】社員の理解を得たうえで進める
SDGsに取り組む際は、経営陣から社員に向けた説明の場を設ける必要があります。なぜなら、いきなり始めてしまうと、かえってモチベーションを下げる恐れがあるためです。 そこで、取り組みに向けた姿勢をしっかりとアピールすることで、社員からの協力を得やすくなります。取り組みが途中で頓挫することがないよう、必ず事前に共有しておきましょう。
【ポイント2】自治体からの支援を受ける
自治体によっては、SDGsの促進支援を実施している場合もあります。
たとえば、自治体の制度に登録するとPR活動を実施してくれたりオリジナルの登録マークを提供してくれたりします。自社のPR活動やブランディング向上にもつながるのでおすすめです。
【ポイント3】他社の取り組み事例を参考にする
他社の取り組み事例を参考にすると、計画する段階で役立ちます。なぜなら、他社の取り組みを知ることで「自社ならではの取り組み」に変化させやすいからです。
たとえば、競合他社の規模や実績だけでなく、優先すべき課題などを洗い出せます。つまり他社の事例は、自社で取り組むうえでヒントとなる可能性が高いのです。参考にした事例を活用し、自社ならではの施策を考案してみてください。
【ポイント4】無理のない範囲で始める
SDGsへの取り組む際のメリットや各ステップで紹介したように、重要性は理解できても、無理のない程度で行動を開始すべきです。無謀な取り組みを実施してしまうと、かえって負担が大きくなってしまいます。
あくまで「持続可能」かどうかに意識して、無理のない範囲で始めていきましょう。取り組むうえで、自社にとって集中すべきポイントを明確にしておく必要があります。
企業でできるSDGsへの取り組みの具体例5選
SDGsへの取り組みの具体例を5つご紹介します。どの企業でも取り組みやすいものばかりですので、ぜひ参考にしてください。
具体例① ノベルティをエコなものに変更する
企業ノベルティをエコなものに変えることで、環境保全に関する目標に取り組むことができます。
例えば、再生紙を使ったメモ帳やノートでも良いですし、使い捨ての利用を減らすためのアルミ製のストローや、ビニール袋削減につながるエコバッグなどの環境への意識が高まるアイテムもおすすめです。
ノベルティは展示会や企業の説明会などで配布することが多いため、他の企業や就活生などに対して、企業としてSDGsに取り組んでいることをアピールできます。
具体例② 名刺の素材を紙から環境にやさしい素材へ変更する
ジネスパーソンに欠かせないビジネスアイテムである名刺。
この名刺の素材を環境にやさしい素材へと変えたり、古紙をリサイクルした再生紙に変えたりするのもSDGsの取り組みとなります。
変わった素材の名刺を渡すことで名刺交換時に会話のきっかけにもなりますし、商談の際に良い印象を与えることができるでしょう。名刺だけではなく、コピー用紙やパンフレットなども、環境にやさしい素材へと変更することができます。
>不要な用紙を100%再生紙にする「PELP!」会員になれば、回収・再生した用紙の量やどれくらい環境保護に貢献したのか可視化することもできます
具体例③ 誰もが働きやすい環境づくり
ワークライフバランスを維持するための労働環境をつくることも、SDGsの取り組みになります。
テレワークの推進を行い、育児・介護と仕事を両立できるような環境づくりが代表的な例です。
働きたくても働けない方たちが働きやすいような環境を提供していくことで社内はもちろん、社会全体の生産性向上につながります。
具体例④ ボランティアを通じて地域に貢献する
ボランティアを通じて地域に貢献するのも、企業でできるSDGsへの取り組みです。たとえば、以下のような取り組みが挙げられます。
ボランティア活動は、環境の保護や生物の多様性保全などに直結したSDGsへの取り組みです。上記のボランティア以外にも多くの活動があるので、まずは無理のない範囲で取り組んでみてください。
具体例⑤ オフィス内の節電を心がける
オフィス内の節電を心がける活動も、企業で始めやすいSDGsへの取り組みです。そもそもオフィスでは、数多くの電気機器を使用します。たとえば、以下のようなものが挙げられます。
- 照明機器
- 空調機器
- 事務用機器
- パソコン
これらのような機器を対象に、可能な限り節電を心がけていく必要があります。こまめに電源を切ったり、省エネモードを活用したりして、日頃から取り組んで習慣付けていきましょう。
キンコーズのSDGsへの取り組み事例
事例① 『捨てずにつくる』アップサイクルプロジェクトの実施
キンコーズでは、『捨てずにつくる』アップサイクルプロジェクトを実施し、SDGsに積極的に取り組んでいます。
店舗の周辺の企業やNPO法人とコラボして、アクリル製品や横断幕など製品作成の際に生じた端材(はざい)をリサイクルし「マスクケース」や「筆箱」などにする活動なども継続的に実施しています。
端材をリサイクルしたことによる環境保護だけではなく、地域と共働することで地域の活性化も目的としています。
事例② 紙のリサイクルサービス「PELP!」を採用
キンコーズでは、2021年9月より「PELP!(ペルプ)」というサービスの会員として、会員企業からの不用コピー用紙を回収し、名刺や封筒などのオフィス用品にリサイクルして還元する取り組みを開始しました。
PELP!は小ロットで古紙の再生を可能にし「捨てず、燃やさず、めぐる紙」というコンセプトの下、サステナブルな働きかけをしています。このコンセプトに共感し、当社もPELP!の導入を決定しました。
当社内の廃棄用紙はPELP!で再生し、従業員が使用する名刺や封筒をPELP!用紙に完全に切り替える方針です。さらに、顧客向けの循環型プリントサービスも提供しています。
事例③ 廃棄ユニフォームからアップサイクル用紙を作成
キンコーズは「想いを創り、伝えるに寄り添い、世界に彩りを」のVISIONを掲げ、プリントサービスや装飾支援を通じて、街やこころに彩りを添える企業理念を持っています。
キンコーズの店舗でもこの彩りを実感していただくため、2022年7月にスタッフユニフォームのリニューアルを実施しました。それに伴い、以前使用していたスタッフユニフォームの処分が発生したことから採用したのが、廃材を使用して紙を作成する「オーダーメイドペーパー」です。
これは、捨てられるものに新しい価値を与える循環型モデルの取り組みとして実施しました。オーダーメイドペーパーは「オーダーメイドペーパー製作の過程を紹介する販促物」として、キンコーズの店舗や営業ツールに活用しています。
>廃棄ユニフォームからアップサイクル用紙を作成! ~廃棄物に新しい役割を与え、循環型モデルに挑戦~(コーポレートサイトへ)
SDGsの具体例や取り組みでよくある3つの質問
質問① 企業におけるSDGsの取り組み状況とは?
企業におけるSDGsの取り組み状況について、帝国データバンクが調査結果を発表しています。まず対象範囲は以下の通りです。
調査対象: 全国2万5,405社、有効回答企業数は1万1,337社(回答率44.6%)
調査時期: 2022年6月17日~30日
この調査は過去の調査結果と比較したものになっていて、企業の規模や業種ごとの格差もみられます。また、調査結果によると働き方改革を含めた「働きがいも経済成長も」に入れている人が「31.4%」で最も高かったと発表しました。
出典:SDGsに関する企業の意識調査(2022年)|TDB景気動向オンライン質問② 日本におけるSDGsの達成状況は?
日本におけるSDGsの達成状況は「Sustainable Development Report 2023」によると、166カ国中21位と発表されています。2年前のレポートと比較すると、日本は165カ国中18位であったため、3つランクを落としてしまっています。
特に、目標5のジェンダーや目標12の持続可能な消費と生産などを含めた5項目で最低評価となりました。反対に、達成している項目としては、目標4の教育と目標9のインフラ、産業化、イノベーションで高い評価を獲得しています。
出典:Sustainable Development Report 2023|SDSN質問③ 発信する際に注意すべき「SDGsウォッシュ」とは?
発信する際に注意すべき「SDGsウォッシュ」とは、実態が伴っていない状態でSDGsに取り組んでいると見せる行為です。SDGsウォッシュと判断される行為は、合計して5つに分類されています。大分類として「取り組みや開示が不十分」と「取り組みや開示はできているが負の影響を与えている」の2つがあります。
SDGsウォッシュと判断されないよう、ガイドラインを遵守しましょう。
「取り組みや開示が不十分」 | 「取り組みや開示はできているが負の影響を与えている」 |
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・認識不足:社会課題すらできていない ・取り組み不足:取り組みの水準に達していない ・開示不足:必要な情報が開示できていない | ・負の誘発:取り組みによって、別の社会課題が発生してしまう ・言行不一致:特定の社会課題に取り組んでも、別の取り組みをすると課題が発生してしまう |
おわりに
今回は、SDGsについて企業として取り組めることや、取り組むことでのメリットについてご紹介しました。
SDGsを達成するには、個人の取り組みだけではなく社会の取り組み、企業としても取り組むことがとても大切です。取り組みを続けることで、取引先や顧客との信頼関係を深めるきっかけにもなります。
SDGs達成に向けて、1つでも多くのゴールを目指せたら良いですが、無理は禁物。
雇用について見直したり、業務で利用する資源について考えたりすることからSDGsへの取り組みは始められます。できるところから1つずつ、SDGsへの取り組みを実施してみましょう。
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