ホーム お役立ちコラム DTPって何?意味や印刷物制作フローを知ってデザインスキルアップしよう
公開日:2023.05.01
DTPって何?意味や印刷物制作フローを知ってデザインスキルアップしよう
今回はDTP(ディーティーピー)について解説します。
普段はあまり耳にすることが少ない言葉ですが、DTPは基本的に印刷業界で使われる用語です。
今回は用語の基本からどんな場面で使われるかなどを解説していきます。DTPの基礎について知りたい方はご参考ください。
DTPとは
DTPとは(Desk Top Publishing)を略した言葉で、印刷物をパソコン上で作成することや、作成した印刷データを出力するまでの工程を意味しています。
現在のアドビシステムズの前身にあたる、アルダス社の創業者であるポールブレナードが提唱した手法や概念であると言われています。
これまでのアナログでの制作作業とは異なり、パソコンなどのハードウェアと、ページレイアウトができるデザインソフトウェアの、双方の普及に合わせて印刷工程をデジタル化すること自体を指す意味でもあります。
日本国内におけるDTPの歴史も古く、1987年にページレイアウトソフトである「Page Maker 2.0日本語版」が発表され、その2年後には専用のプリンタなどが登場したことから、日本の印刷業界もDTPの制作環境へと大きく変化していきました。
DTPに求められるスキルとは
DTPとは印刷物を制作する環境や工程のことを意味していることから、DTP関連のソフトウェアを扱うスキルが必要となってきます。
印刷物を作成する過程で、企画するところからデザイン・入稿・校正・最終的な印刷までさまざまな人が関わって来ます。
その中でも具体的な職業として、「DTPデザイナー」や「DTPオペレーター」は印刷物の制作部分を担う割合が大きくなります。
まずはDTPデザイナーとDTPオペレーターの役割や求められるスキルを見ていきましょう。
DTPデザイナーに必要なスキルとは
DTP制作を行うにあたり、印刷原稿を原案から作成するのがDTPデザイナーです。
DTPデザイナーには以下のようなスキルが主に必要とされます。
- デザイン能力
- DTP関連のソフト操作技術
- コミュニケーション能力
DTPに関連する主なソフトは、「Illustrator」「Photoshop」をはじめとるする写真やデザイン加工のソフトや、「InDesign」「Quark Xpress」などDTPソフトなどが代表的です。
これらの操作に加えて、レイアウトや色調加工などの基礎知識を用いて印刷物の総合的なデザイン作成ができるスキルが必要となります。
職務の範囲は会社などにより異なりますが、広くはクライアントとの印刷原稿の制作打ち合わせから、デザイン原稿の最終的なレイアウト作成などまで印刷物の制作工程のほとんどを担っていることもあります。
そのためDTPデザイナーには、単純なデザイン能力だけでなくソフト関連の操作能力に加えて、クライアントや制作スタッフとチームで作業をするためのコミュニケーションスキルなども求められています。
DTPオペレーターとの違い
DTPオペレーターとはDTP関連のソフトを操作し、レイアウトや文字の調整など原案のデザインをもとにパソコン上で作成する部分のみを担当する仕事です。
DTPデザイナーと仕事の内容が似通っているため少しわかりづらいですが、DTPオペレーターはデザインの原案を担当していない場合が多い、と理解すると良いでしょう。
ただし会社などによってはDTPデザイナーと同じ意味で使用している場合や、DTPデザイナーの補助的なポジションとして呼んでいる場合もあるので、取引相手がどのようなDTPスキルを求めているのか最初に確認しておく必要があります。
DTPによる印刷物制作のワークフロー
ここでDTP制作の簡単なワークフローをご紹介したいと思います。
DTPデザインだけでなくその前後の工程も理解し、DTPの大まかな流れも学んでおきましょう。
DTPのワークフローには以下のような例があげられます。
- 企画の立案・検討
- レイアウト案の検討
- 内容の決定
- 制作の準備
- 原稿、素材の作成
- レイアウト作成
- データ入稿・色校正の作成、出力
- 校了下版
- プレス・印刷開始
- 折り・製本
※(1)~(6)は編集者・デザイン担当者が行い、
(7)~(10)は印刷会社や製本会社が行うことが基本の流れです。
アナログでの制作環境では、高い専門性が必要とされたこともありそれぞれのポジションでの分業化がされていました。
しかし、DTPが進んだことで設備と環境が整えば幅広く作業ができることから、編集者やデザイナーの製作者側のポジションごとの役割の明確化は少なくなりました。
一方で、製作者側(編集者やデザイナーなど)と製造側(印刷会社など)に分けた場合、DTPでのワークフローにおいて明確に分業化されることになります。より良い印刷物を作成するには、お互いの業務を把握してワークフローを明確にすることが課題だとされています。
DTPとWEBデザインの違い
DTPデザイナーの解説をしましたが、デザインとつく名前で似た職業として「WEBデザイナー」があげられます。
パソコンを使ってデザインをする意味では同じですが、決定的な違いは印刷物をつくるのかWEBサイトのページを作るのか、の違いです。
DTPも、WEBデザインもパソコンをつかってデザインやレイアウトを作成しますので、PhotoshopやIllustratorなどのソフトを使用する点は共通しています。
DTPに関連する検定・資格について
DTPエキスパート・DTPエキスパートマイスター
DTPエキスパートとは、公益財団法人日本印刷技術協会(JAGAT)が認定している民間資格です。
DTPの現場において必要な、「DTP」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーション」の5つのカテゴリにおいての知識を問う試験内容となっており、年に2回行われている学科試験に合格することで資格認定されます。
DTPエキスパートの上位資格として、「DTPエキスパート・マイスター」も存在しており、学科試験に加えて実技試験に合格すると取得することができます。
資格は2年ごとの更新が必要になり、更新試験を受けることで資格の継続が可能です。
また、更新をしなかった場合も再取得制度を利用して取得することも可能です。
DTP検定
DTP検定は株式会社ボーンデジタルが主催している検定です。
DTPの実務の技術と知識を客観的に測定する検定試験となっており、試験に合格することで認定されます。
検定には「DTPディレクション検定」と「DTPビジネス」検定の2種類があります。
DTPディレクション検定は、編集者や責任者としてDTPの全工程を管理監督できるような能力を評価する検定で、企画構成から原稿作成やレイアウトなど技術的な部分の知識も問われます。
DTPビシネス検定はDTPのなかでも文書作成にフォーカスした検定となっており、レイアウトなどを学ぶ必要がある為、ビジネス文書の作成にも役立つ検定となっています。
まとめ
今回はDTPについて解説させていただきました。
DTPデザイナーやDTPオペレーターなどは仕事としても人気の高い職業です。
DTPの意味や内容、資格などを理解し印刷現場に役立てていきましょう。
参考文献:カラー図解 DTP&印刷スーパーしくみ事典 (ボーンデジタル出版事業部)
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