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公開日:2023.10.17

色校正とは?方法や必要になる理由、注意すべきポイントをわかりやすく解説

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色校正とは?方法や必要になる理由、注意すべきポイントをわかりやすく解説

ポスターやチラシを印刷した際、出来上がりの色合いに違和感を覚えたことはないでしょうか?
この現象は、家庭用のプリンターだけではなく、業務用のプリンターでも起こり得るもので、対策として必要になってくるものが「色校正」です。

自分で行うときは当然ですが、色校正は専門の印刷会社に依頼するとしても本印刷の前に必要となります。
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今回は、色校正に関する基礎知識から、その方法までさまざまな情報をご紹介します。

色校正とは?

色校正とは、印刷物の色を確認し、イメージ通りに再現できるかどうかを試し刷りで検証する作業です。

この作業は印刷前の段階で行われ、結果がイメージと異なる場合は補正が必要となります。なお、印刷の補正は「文字・デザイン補正」と「色校正」の大きく2つに分類されています。

まず「文字・デザイン補正」は作成中の紙面と原稿を照らし合わせ、誤植デザインの意図の違いがないか確認する作業です。
修正が必要な場合は修正指示(赤字)を出します。

一方、色校正は色に焦点を当てた補正です。色の調整統一性を守るためのもので、この工程で印刷の色の基準が決定します。
通常、色の調整は文字やデザインの修正とは別に進められることが一般的であり、色に特化した校正工程として扱われます。

>(あわせて読みたい)DTPによる印刷物制作のワークフローについて

色校正が必要になる4つの理由

色校正の概要について理解できたところで、次は色校正が必要になる理由について解説します。主な理由は次の4つです。

  • モニターと印刷物の色の違いを見るため   
  • 色の認識をすり合わせるため
  • 色の違いによる刷り直しを防ぐため
  • 印刷する紙によって色の印象が変わるため

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

1.モニターと印刷物の色の違いを見るため

RGBとCMYKについて

色校正が必要になる理由の1つが、コンピューターのモニターと印刷物で色合いが異なる点にあります。この違いは主に、モニターと印刷物で用いられる色の表現法が異なることで生まれます。

パソコンのモニターでは「RGBカラーモデル」が一般的で、赤、緑、青の3色を混ぜて色を再現します。この方式では、色を混ぜれば混ざるほど白に近づき、加法混色と呼ばれます。

対照的に、印刷物では「CMYKカラーモデル」が一般的です。このモデルではシアン、マゼンタ、イエローの3色を基本に、ブラックを加えた4色で色を表現する減法混色です。

それぞれの色の表現が違うため、RGBで表現可能でもCMYKで出力できない色が存在し、パソコンで確認した色と印刷の色が異なる場合があります。

これらの解決策として、出力結果を予測するために色校正が必要になるわけです。 色校正によって、モニターで見た色合いを印刷物でも忠実に再現することが可能になり、品質の高い出力を実現できます。

>(あわせて読みたい)印刷物の色はなぜCMYK?光と色の三原色・色の再現方法を知ろう

2.色の認識をすり合わせるため

色は印刷物の重要な要素であり、どう認識するかは人それぞれで、環境や感性、経験によって異なります。
たとえば「青色」というイメージに対して、明るいシアンのような色を想像する人もいれば、濃いブルーを想像する人もいます。

特に広告やデザイン業界では、正確な色の再現がブランドイメージや商品の魅力を伝えるうえで重要となります。ただ単に再現するだけではなく、その色が伝えたいイメージメッセージの擦り合わせが重要になるのです。

色校正を行うことで、顧客の要望に合わせた色の再現が可能となり、顧客が求める品質での印刷を可能にします。

印刷会社ではキャリブレーション(専用の測定器で標準通りの色値を調整する作業)を行って、適正な色が再現できるよう整備していることもあります。

キャリブレーション(専用の測定器で標準通りの色値を調整する作業)
キャリブレーションの様子

3.色の違いによる刷り直しを防ぐため

印刷物を作成する際、色の再現性は重要なポイントの1つです。イメージと異なる色が印刷されると、やり直しが必要になります。

この再印刷には多くのコストや時間がかかり、納期に対してもリスクが生じます。しかし、色校正を行うことで、完成前の段階で色の確認をすることができ、このような刷り直しのリスクを大きく軽減させられるのです。

色校正は納期を守り、かつ無駄なコストを削減するためにも欠かせない重要な作業といえます。

4.印刷する紙によって色の印象が変わるため

印刷する紙によって色の印象が変わる

印刷用紙は、印刷の仕上がりに大きく影響を与える要素です。印刷用紙は種類も多く、それぞれに紙質が異なるため、使用する紙によって色味が大きく変わる場合があります。

ここで色校正が大きな役割を果たします。印刷用紙によって、どの程度の色味差が出るのかを確認できるためです。

色校正でチェックをしたうえで、紙質による色の違いが許容範囲内であるか、異なる種類の用紙に変更する必要があるのか​​判断できます。

>(あわせて読みたい)印刷の「黒」に要注意!リッチブラック、スミベタ、4色ベタを使い分けよう

色校正の方法は3ステップ

色校正は、本印刷前に仕上がりの確認をするための工程です。そのため、多くの印刷会社においてはパッケージに含まれず、オプションサービスの形で提供されています。

つい見落としがちになるため、印刷後に仕上がりの件でトラブルを起こしたくない方は必ず申し込む必要があります。ここでは、実際に色校正を依頼する際の方法として、ステップごとに解説します。

ステップ1. 本印刷前にサンプルが届く

まず、印刷するデータを入稿した後に、本印刷前のサンプルが届けられます。
なお、オンデマンド印刷で色校正が必要な場合は少部数の発注でサンプルを購入するのも1つの方法です。

ステップ2. サンプルを元に自分の目でチェック

依頼したサンプルを元に、自分の目で希望通りの色になっているかチェックをしましょう。

この時、認識とズレているようであれば色のトーンや色味を補正し、再度試し刷りを依頼します。

なお、色の調整が必要な場合は、制作を担当するデザイナーが元データを変更・修正し、再び入稿します。この作業は印刷会社では行わないのが一般的なので、注意が必要です。

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ステップ3. 問題がなければそのまま本印刷

刷り直しとチェックを繰り返し、最終的に認識と合う色が表現できたら本刷りに入ります。この段階を「校了」といいます。

なお多くの場合、校正回数には限度が設けられており、何度も校正ができるわけではありません。

1度の校正で済むように、隅々までしっかり目を通すようにしましょう。

色校正に関する3種類のサービス

印刷会社が提供する色校正のサービスは、大きく3種類に分類されます。
3種類それぞれに長所と短所があり、予算や納期・仕上がりの質などを考慮してどの方法が適しているか総合的に判断しましょう。

●簡易校正

1つは簡易校正です。文字通り簡易的な校正で、本印刷で使われる印刷機や紙は使わず、おもにインクジェットプリンターで印刷が行われます。
そのため、本印刷とは多少ながら出来栄えに差が見られる点は注意が必要です。

その反面、印刷にかかる費用がもっとも安く納期も短期で済みます。

印刷物のクオリティーを必要以上に求めず、かつデータ入稿後の仕上がりを事前に確認したいときなどにおすすめです。

●本紙校正

紙校正は、本印刷と同じ紙とインクを用いて行う校正です。

簡易印刷に比べて精度は高くなりますが、その分費用も高くなります。

●本機校正

紙やインクはもとより、印刷機器も本印刷時に使用するもので行う校正が本機校正です。

仕上がりの色が本印刷に限りなく近くなる反面、もっとも費用が高く納期も長くなります。

近年は印刷技術の発達に伴い、簡易印刷でも十分な色校正が可能なため、絶対に失敗できない重要な印刷に限って行うと良いでしょう。

色校正をするうえで注意すべき3つのポイント

色校正をするうえで注意すべきポイントは次の3つです。

  • 光の強さによって色の見え方が変わる
  • 人物の血色は変化しやすい
  • 修正の際は具体的な指示が必要になる

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

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①光の強さによって色の見え方が変わる

自然光と白色照明の下では見え方が変わる

色校正の際は照明の影響を考慮する必要があります。なぜなら「部屋の光がどれだけ明るいか」や「LEDや白熱灯か」といった状況次第で、印刷物の色の見え方が大きく変わるためです。

特に、赤っぽい電球色や青っぽい昼光色のような偏った色の光のもとでの色味の確認は適していません。
これらの光は特定の色を強調する傾向にあり、正確な色合いの判断が困難になります。

色の再現性を確保するには太陽光に最も近い、昼白色の照明での確認がおすすめです。これら照明の選択や配置に注意し、色校正の精度を高めるための環境を整えることが、品質向上の鍵となります。

②人物の血色は変化しやすい

色校正の過程で、人物の顔色や血色は特に注意が必要な部分です。ポートレートや広告などで人物が主要な役割を果たす場合、その色の再現性がイメージの全体的な質を決める要素になります。

色校正を誤って青や緑の色味が強調されてしまうと、人物が病的で不健康な印象を与えてしまいます。その結果、伝えたいメッセージやイメージが崩れる可能性があります。

しかし、ただ血色がよく見えるだけでは十分ではありません。たとえば、ファッションの広告であれば、ブランドのイメージやコンセプトに合わせて色味を調整することが求められます。

つまり、規定色の正確さだけを追求するのではなく、全体のバランスやコンセプトとの調和も考慮しながら、色校正を行うことが大切です。

③修正の際は具体的な指示が必要になる

色校正の過程で最も重要なのは、修正の際に具体的な指示を出すことです。なぜなら、抽象的な言葉では印刷会社も何をどう修正すれば良いか判断ができず、結果的に品質へ影響するからです。

たとえば、「この青をもう少し深くして欲しい」や「この部分のコントラストを弱めて」など、修正したい箇所とその方向性を明確に伝えることが求められます。
修正の程度も「やや」「中程度」「できる限り」といった段階を定めておくと、より精度の高い色校正が可能になります。

最初に色校正を行う場合や、言葉での説明が難しい場合は、印刷会社とコミュニケーションをしっかりと取り、そのフィードバックを踏まえて具体的な指示を整える方法が有効です。具体的には色見本やカラーチップ、色番号を用いて明確化するのがおすすめです。

色校正でよくある3つの質問

色校正でよくある質問として、次の3つが挙げられます。

  • 校正と色校正の違いは何?
  • 色校正刷りとはどういう意味?   
  • 色見本とは何?

それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

(質問1)校正と色校正の違いは何?

校正と色校正の違いを理解するには、印刷プロセス全体を把握する必要があります。

一般的に「校正」と言えば、印刷されるテキストやレイアウトが正確かどうかを確認する工程を指します。その目的は、誤字や不備、レイアウトのズレなどを事前に修正することです。

一方の「色校正」は、これに加えて色の再現に焦点を当てた作業です。この段階では、デザインソフトで見る色と印刷された後の色が同じになるように調整します。

つまり、校正は印刷物の「形」を確認する作業、色校正は「色」を確認する作業となります。区別して正しく、適切な工程を選ぶことが印刷品質を高める鍵となります。

(質問2)色校正刷りとはどういう意味?

色校正刷り(色校正)とは、印刷の前段階で実施されるサンプル印刷をいいます。この作業は、デザインや写真の色の出方などを事前に確認し、最終的な印刷物として求められる品質を確認するために行われます。

特に、高品質な印刷物を目指す場合や特定のブランドカラーを再現する場合など、色の精度が求められる場面で重要な工程です。文字のチェックだけではなく、色の調整も行うため「色校正」という名前がつけられています。

この色校正をもとに、クライアントやデザイナー、印刷業者がコミュニケーションをとり、必要な修正や調整をします。このように、正確な色の再現を目指すため、この色校正刷りの工程は非常に重要な役割を持つのです。

(質問3)色見本とは何?

色見本は、印刷や製造工程において、必要な色を正確に伝えるための参考資料を指します。
特に、オリジナルデザイン商品のOEMを委託する際にはこの色見本が必要です。

デザインに使われる色はさまざまで、言葉だけでは伝わらない違いが存在します。たとえば「赤」と一言で言っても、その赤がオレンジ寄りなのかピンク寄りなのかで、製品やデザインの印象が大きく変わります。

しかし、色見本を使用することで、イメージに忠実な色を再現することが可能です。製品の品質とブランドイメージを保つためにも、色見本は重要なツールといえます。

>(あわせて読みたい)キービジュアルを依頼する際、イメージを伝えるために必要な知識

おわりに

同じ色だとしても、イメージする色合いは人によって異なります。

色校正は、人それぞれの認識のギャップだけではなく、色の表現法によるギャップも是正する重要な工程です。

色校正がオプションサービスとなっている印刷会社も多数あるため、費用と時間が許す限りぜひ利用することをおすすめします。

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